うそつきは恋のはじまり
「あぁっ!返してよー!」
「ねぇ北見さん、これどう思う?30代が見る雑誌だと思う?」
「え?あー、なんか随分若い子向けの雑誌だな。わっ、このモデルとか18歳だって。若っ」
雑誌の中をパラパラと見る二人の反応で、先程の莉緒の冷たい顔の意味がすぐにわかった。
そう、私が読んでいたのは10代のティーン向けのファッション誌。キラキラとした色柄の服に、ごちゃっと並ぶ文字。どう見ても私の世代には合わないような内容だ。
「もう私、口先で嘘をつくばかりじゃなくて、いっそ見た目もハタチになろうかと思って!」
「えーと……どうなったらそんな結論になるんだ?」
「いろいろ考えた結果です!」
自信満々に言う私の髪型は毛先を巻きふたつに結っている、完全に若さを意識した髪型だ。
「何バカなこと言ってるんだか……いくら見た目が若く見えても、若い格好をした時の違和感は隠せないんだから」
「そ、そうなの?」
「そう。ならいっそ“年上に見える20歳”のスタンスを貫きなよ。大人には大人の魅力ってものがあるでしょ!」
大人には、大人の魅力……。
「し、師匠……!」
雑誌をパンッと閉じ近くのゴミ箱に捨てる莉緒の言葉は、呆れているようで正しい。
「まぁ、いくら繕ったところでいつかバレるだろうけどなぁ」
「なっ!」
けれど、それに一言刺す北見さんの言葉。