うそつきは恋のはじまり
「……はぁ」
帰りの電車に揺られ、口から出たのは小さな溜息。
彼方くんといると幸せ、だけど現実と向き合うとまたこうして溜息。
こんなことになるなら、最初から嘘なんてつくんじゃなかった……。でも、あの時正直に言って、もし『は?30?ふざけんなよ』って言われても立ち直れない……!
いやー!と頭を抱えていると、じっと感じる視線。
「ん?」
なんだろう、と顔を上げると、目の前にはしゃがみ込みこちらを見る彼方くんの顔があった。
「っ!!?え!?彼方くん!?」
「やっと気付いた」
なんで!?と驚き次の停車駅を確認するけれど、まだ電車は青島大学前駅より二駅手前。いつもなら彼方くんはまだ乗っていない場所だ。
「友達と遊んだ帰りでさ、七恵が乗ってくる前から乗ってたんだ」
「え!?そうだったの!?気付かなかった!」
「うん。なんか七恵ずっと一人で溜息ついたり頭抱えたりしてたもんね」
み、見られていた……!
恥ずかしさに顔をかーっと赤くする私に、彼方くんは笑って立ち上がった。