重なり合う、ふたつの傷
私の中の幻想という花火が打ち上がる。
……そこにいる浴衣姿の私。
……隣には誰もいない。
それをお兄さんの言葉がシャットアウトした。
「零士とは、つき合って長いの?」
「いえ、というか、つき合ってないです」
「そうなんだ。零士もこれから女性関係には気をつけないと。つき合ってないなら、つきまとわないであげて」
「……はい」
「僕なんてどうですか?」
「はいっ?」
クエスチョンをつけて言ってみたけど、意味は理解できていた。
零士とつき合ってないなら、僕とつき合いませんか、という事だと。
「ごめんなさい。私、好きな人がいるんです」
気がつくとそう答えていた。
なんとなく嫌な空気が流れている。
そう感じた瞬間、私の腕が掴まれ、強引に引っ張られた。
そこにはラブホテルがあった。
「ちょっ、やめてください」
逃げようとしたけど、二十代と思われるそのお兄さんの細身だけど筋肉質な腕は想像以上の力が備えられていた。