重なり合う、ふたつの傷


十分位して、その路線の終点に着いた。


私が駅名を確認する事もなく改札を出ると、左側に陸橋があった。



暗くてよくわからなかったけど、その陸橋へ続く階段を上がると、全体図が見えた。


両側は坂道になっていて、どうやらこの今立っている部分の下を貨物列車が通っているようだ。


誰もいない夜の陸橋。


駅の反対側には煙突がいくつかあって、黒い煙を吐いていた。私の溜め息のように……。


きっと向こうは工場地帯なのだろう。


ケータイの着信音がした。


《天野くんから返事がきたーーー!!》


ルミ……。


天野くん……。

途轍もなく寂しくなった。


陸橋のこのフェンスを越えれば私は間違いなく死ねる。


こんな私をルミは救ってくれるだろうか。




< 20 / 209 >

この作品をシェア

pagetop