俺の魂を狂わす女
α.気になる彼
私は久保玲香。

新人の評価を終えパソコンを閉じた。

ラボのオフィスを出て更衣室へ向かった。

通路を歩きながらスマホを見た。

特に緊急なものはなかった。

開けたロッカーの前で白衣を脱ぎ

コートを羽織った。

テーラードのえりを立て

ストールを首に巻き付けた。

目の高さに備え付けてある鏡を覗いて

形の良い唇にグロスをたっぷりと塗り込んだ。

更衣室を出て駐車場へ向かった。

外はすでに暗く空気も冷えて

真冬の寒さを肌で感じた。

夜空には星のまたたきが澄んでいるようだ。

コツコツと足音が辺りに響いた。

最近駐車場に隣接した2階建てのビルに工事が入った。

この時間になってもビル内は電気がついていて人影があった。

いったい何の会社かしら。

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