じゃあなんでキスしたんですか?
声が詰まる。
時間の流れに溶け込むようにして、液晶画面に映る数字が数を増やしていく。そしてノイズとはあきらかに異なる物音が聞こえた。
『起きてください』
ふいに聞こえた声にびくりとからだが震える。
『森崎さんに、聞きたいことがあるんです』
録音したものだと妙に違和感があるけれど、間違いなく、わたしの声だ。あの日のことを思い出して、一気に顔が熱くなった。
『わたしのこと、どう思ってますか』
森崎さんに目を向けた瞬間、彼はレコーダーを止めた。
その顔は、耳まで真っ赤になっている。
「なんで、止めちゃうんですか」
口をとがらせると、彼は赤い顔のままうつむいた。
「最初に聞いたときは、耳を疑ったよ」
わたしはソファを下りて、森崎さんの手からICレコーダーを奪い取った。そのまま、再生ボタンを押す。
「あ、おい」