じゃあなんでキスしたんですか?
「どうして急にそんなこと」
「理性が消し飛ぶ」
吐き捨てるように言って、森崎さんはわたしに唇を落とした。
もしかすると、わたしが思ってる以上に、森崎さんには余裕なんてないのかもしれない。
絶対に口にしてはいけない言葉を手に入れたとたん、心の底で渦を巻いていた気持ちがウソみたいにほどけていくのがわかった。
彼の無表情を崩す切り札は。
「修司さん、好きです」
「ばっ」
声にならない声を上げて、森崎さんはなんとも情けない表情になる。
「あれ、首まで真っ赤ですよ」
優位に立ってほくそ笑むわたしに、彼は唇を震わせた。
「今日は朝まで帰さないから、そのつもりで」
使った切り札の思いがけない反作用に、わたしは潔く白旗を上げるのだった。
番外編
口にしてはいけない言葉/
完


