あたしのママの恋の話
 その子の家がビンボーで、セイカツホゴというのを受けているからと、大悟が、「給食費払ってないやつは食う権利ねえだろ」、とハンバーグなどの好きなものを取り上げるようになった。 みさ子先生に何度か居残り説教をされて、やっと止めたけど。


 その後、大悟のお母さんが「一人の生徒ばかり贔屓するのはいかがなものか」と洋風住宅や団地に住む他の男の子のママたちと団結して校長室に怒鳴り込んだり、それを知って「少年の権利を守れ」と入母屋造の家の人たちでつくる【郷土を守る会】が立ち上がったりして、結果的にその年の市長選にまで影響がでるほどの大騒ぎになった。


 セイカツホゴの話は、それからクラスでは「絶対に口に出してはいけないこと」になった。



 ――そのせいでもなかった。

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