あたしのママの恋の話
 学芸会で『乞食王子』を上演することになったとき、古くからの入母屋造の家の住民だったみさ子先生には、何やら思うところがあったらしく、その子は《王子》役に大抜擢された。
 華麗な衣装を、先生の妹で洋裁を勉強している人が作り、ヘアスタイルとメイクは、先生の同級生で美容師という人が担当した。


 当日、クラスのたち全員がびっくり仰天した。その子はとても綺麗な顔をしていて、きちんとした格好をすると、本物の王子さまのようにかっこよかったからだ。
 《乞食》役だった大悟の熱演も、その子の棒読み台詞の気品にすら勝てなかった。


 それから男子たちはやけに熱を入れて「オトコオンナ」「オカマオバケ」とその子をからかうようになった。
 その子が一度でも手に取ったものには、「オンナがうつる」と言って、男子は誰も触ろうとしなかった。



 ――そのせいでもなかった。
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