あたしのママの恋の話
 男の子たちは興奮して、「すげえ!」「ほんとに超能力かよ?」と驚いていたけど、大悟だけは認めなかった。


「こんなに全部きれいに同じ形に曲がるなんておかしいだろ。おまえ、手品みたいなトリック使ったろ、インチキやろう!」とガンガン片足で床を蹴りながら喚いた。


 その子は「インチキじゃないよ」ととても小さな声で言った。
「これは、おばあちゃんの一族に伝わってきた力。受け継ぐのは僕で最後なんだ。一族はみんな死んで、おばあちゃんもボケてきちゃったし、だから、もうどうでもいいんだ」。



 その子は両手を上げた。なぜかあたしは嫌な予感がして、「だめだよ!」と叫んでいた。でも、どうしようもなかった。



 その子の手の動きといっしょに、大悟の身体がするすると浮き上がった。
 その子の背後に、目に見えない巨人がいて、その大きな手で持ち上げられたみたいに。



「止めろ、下ろせ」と真っ青になって喚く大悟が、みんなの頭の上十㎝くらいのところにあった、あの異様な光景は、忘れたくても忘れられない。
 そして、あの音も。



 バチンッと、運動会でみんなで引っ張っていた綱引きの紐が、いきなりちぎれたときみたいな音がした。
 大悟が背骨の方向にきれいにくの字になった。ぞっとするような悲鳴が、大悟のいっぱいに開いた口から迸った。



 ――そのせいだった。
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