あたしのママの恋の話
そのとき、「おまえが曲げてみろ、でないと許さねえ」と、大悟が言いだし、男子全員でその子を取り囲んだ。
わたし一人が「やめてあげなよ」と言っても、女子はしらけていたし、男子はますます熱くなるだけだった。
「おまえん家のババアは昔占いやってたらしいけど、どうせインチキだろ。そうじゃないなら、おまえが超能力見せてみろ」。大悟の言いがかりに、その子は俯いたままこう返した。
「いいけど」。
そして両手を上げて、TVに出てくるユリ・ゲラーが「パワーッ!」って言うときに似たポーズを取った。
その子はじっと目を閉じて集中していたけど、何にも起こらなかった。
「なんだそりゃ」、「カッコだけじゃんこいつ」、と男子はみんな腹を抱えて笑いはじめた。「テメエ、どうオトシマエつけんだよ」、と大悟が映画にでてくるヤクザみたいに凄んだときだった。
突如、ギイイーンという、電車の車輪が急ブレーキで軋むような、鼓膜が割れるかと思うほど嫌な音が教室いっぱいになって、みんないっせいに耳を塞いだ。
一番最初に異変に気付いたのは、せいたかのっぽのあたしだった。
「見て!」、と震える指で差した床の上で、散らばったスプーンが全部くの字に曲がっていた。
――そのせいでもなかった。そのときはまだ、あそこまで恐れられてはいなかった。
わたし一人が「やめてあげなよ」と言っても、女子はしらけていたし、男子はますます熱くなるだけだった。
「おまえん家のババアは昔占いやってたらしいけど、どうせインチキだろ。そうじゃないなら、おまえが超能力見せてみろ」。大悟の言いがかりに、その子は俯いたままこう返した。
「いいけど」。
そして両手を上げて、TVに出てくるユリ・ゲラーが「パワーッ!」って言うときに似たポーズを取った。
その子はじっと目を閉じて集中していたけど、何にも起こらなかった。
「なんだそりゃ」、「カッコだけじゃんこいつ」、と男子はみんな腹を抱えて笑いはじめた。「テメエ、どうオトシマエつけんだよ」、と大悟が映画にでてくるヤクザみたいに凄んだときだった。
突如、ギイイーンという、電車の車輪が急ブレーキで軋むような、鼓膜が割れるかと思うほど嫌な音が教室いっぱいになって、みんないっせいに耳を塞いだ。
一番最初に異変に気付いたのは、せいたかのっぽのあたしだった。
「見て!」、と震える指で差した床の上で、散らばったスプーンが全部くの字に曲がっていた。
――そのせいでもなかった。そのときはまだ、あそこまで恐れられてはいなかった。