好きになっちゃダメなのに。

スマホで時刻表を確認しようと、いつもの定位置であるスカートのポケットの中に手を入れた。


「……あれ?」


しかし、そこにはハンカチが入っていただけ。

あるはずのスマホがなかった。


カバンの中かな、と一度立ち止まってスクールバッグを開け、ごそごそと中を探ってみるも、それらしきものは見当たらない。


さすがにこれは引き返さなきゃなぁ、と私はため息交じりにくるりと方向転換。


────たぶん、教室の机の中だ。

そう思って、私は再び夕暮れの色に染まる校舎に引き返したのだった。




……けど。


それが、いけなかった。


思ったとおり、私のスマホは教室の机の中に入れっぱなしになっていた。

だけど、安心してそれをスカートのポケットに入れ、さぁ今度こそ帰ろう、と再び校舎を出ようと廊下を歩いていたときだった。



「……ごめんなさい。遥斗のこと、そういうふうには見れない」



明らかに聞いてはいけないようなセリフが、聞こえてきたのは。

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