好きになっちゃダメなのに。
羽依ちゃんと向かったのは、立候補者の名前が貼り出されていたのと同じ掲示板。
私たちが辿り着く頃には、掲示板の前には結構な人だかりができていた。
そっか。
生徒会長の座を争うのがあの有名なふたりだもんね(聞いてみたら、やっぱり羽依ちゃんも須谷くんのことはちゃんと知っていて、改めて自分の情報収集能力の低さに落ち込んだんだけど)、関心が高いのも頷ける。
「すいません、すいません」
人の間をすり抜けるようにして、背が高くない私でも掲示板が見える位置までなんとか辿り着いた。
えーっと、投票率は70パーセント……。
って、中間投票のわりに投票率高っ!
いつもは半分もいかないのに……。
投票率の高さに驚きながら、その下の数字をみる。
「あー……、まじかぁ」
隣から、羽依ちゃんのそんな声が聞こえた。
速水くんと上下並んで書かれた須谷くんの名前。
その横に記された得票数は須谷くんのほうが、ほんの少しだけ多い。