好きになっちゃダメなのに。
羽依ちゃんのスマホを受け取り、画面を見ると、LINEのトーク画面だった。
何人かのグループトークのようで、羽依ちゃん自身のコメントはほとんどなく、入れ替わり立ち替わり、たくさんの人が発言している。
読んでいいのかな、と戸惑っていたけど、『生徒会長の選挙、どうする?』というコメントがふいに目に飛び込んできて、目が離せなくなった。
『俺は断然須谷』
『なんで?』
『速水が嫌いだから。なんか上から目線じゃね?』
『あー、まぁとっつきにくいとこはあるわな』
『あとヒナ先輩じゃん、須谷のサポート』
『確かに、それはポイント高い』
『晴山ってなんか頼りないもんな~(笑)』
そこからしばらく、速水くんがすかしてるから嫌だ、とか、私がぱっとしない、とか、そんなコメントが並んでいて。
そして『そう言えば』と誰かが違う話題を振ったら、あっさり選挙の話は終わっていた。
「……」
何も言葉が出て来ないまま、私はスマホを羽依ちゃんに返す。