㈱恋人屋 TWICE!
「…僕のせいで…?」
「…はい。」

残酷だと分かっていながらも、これ以外に真実は存在しなかった。

「うっ…うぁ…。」

あれほど紳士的で、あれほど平気で取り繕っていた龍馬さんが、初めて涙を見せた。

「…泣いていいですよ。もう強がる必要はないんですから。」

コーヒーのついたハンカチを手渡すと、龍馬さんは何も言わずにお辞儀をすると、それを顔にあてがった。

…これで、よかったんだよね。

自分自身に言い聞かせていないと、またハンカチを濡らしてしまいそうだった。

「ピロピロピロピロ…。」

ポケットの中のケータイが、軽快な音を立てた。

「あ…ちょっとすみません。」

花屋の外に出て、私は電話に出た。

「紗姫?」

相手は、菜月くんだった。

「うん、そうだけど?」
「かなりヤバいことになってる! 早く戻ってきてくれ!」
「いきなりどうしたの? …今仕事中だし…。」
「いいから早…むぐぅっ!?」
「菜月くん!?」

呼びかけたが、すでに時遅し。不通音が左耳にこだました。

「…何かあったんですか?」

まだ目の赤い龍馬さんが、後ろからいつもの優しい声で問いかける。

「分かりません…。けど、会社の方で何かあったみたいで…。」
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