㈱恋人屋 TWICE!
「う…最悪…。」

案の定、私はグロッキー状態。…二回も縦に回るとか、あり得ないし…。

「紗姫って、本当にジェットコースター苦手なんだな…。何でこんなのが苦手なんだ?」
「新には分かんないんでしょうね…。」
「残念ながら、な。…でも、俺も人間だ。ちょっと休む時間くらい、待ってやるよ。」
「全く…。」

十分ほど休憩スペースで休んだ私は、何とか体力を取り戻した。

「次は緩いのにしてよね。」
「はいはい、分かった分かった。」
「…何か不安…。」

そして、案の定不安は的中してしまった。

「ここ…?」

着いたのは…お化け屋敷。

「そうだ。幽霊なんてしょせんは人間の空想なんだし、怖くないだろ?」
「…心理学やってるんなら、女子の心理くらい知っててよ…。」
「そんなの、知ったこっちゃないな。」

いつまでも順番が来なければいいのに…。私はそう思っていた。だが、現実は残酷なものだ。あっという間に、順番が回ってきてしまった。出口から出てくる人達の顔は、真の恐怖を感じた人間の顔だった。

「ほら、行くぞ。」
「ちょっと待って、心の準備が…。」
「必要ないって、そんなの。ほら、行くぞ。」
「あ、ちょっと待って~!」

私は先へ進もうとする新の腕を掴み、後を追った。
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