㈱恋人屋 TWICE!
「それで…臨店監査って、何をするんでしたっけ…?」
「単純に言うと、支店長の仕事チェック。支店長の普段の業務を見せてもらうよ。」
「…それ、何か前にもやったことあるような…。」
「あ、あれとはまた別。今回は、紗姫ちゃんが試されるから。」
「や、やっぱり緊張します…。」
「そんな緊張することないって言ったじゃん。さ、肩の力抜いて。行くよ、紗姫ちゃん。」

先輩は立ち上がると、私の肩をポンポンと叩いてくれた。…相変わらず、ものすごく優しい。

「…じゃあ、どこ行くか選んで。」
「え、あ、そうですね…。」

てっきり先輩が選んでくれるのかと思ってしまったけど、そんなわけない。

「じゃ、じゃあ、とりあえず本店の近く行きませんか?」

せっかく先輩が来てくれてるんだ。今の一度だけのものじゃなくて、私のこれまでの成果を、全て見せる。

まず最初に、私はデパートに向かった。

「ここ、私が最初に仕事した場所なんです。」

服を買おうと店に行くと…。

「あれ?」
「ん? どうしたの?」
「いや、あの人、どこかで見たことある気が…。」

レジに立つ人の姿に、どこか見覚えがあった。

「あ、もしかして…。」

私はレジの方へと速足で向かった。

「あの…。」

私の顔を見た、その人は…。
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