エリート同期のプロポーズ!?
ブブブブブ ブブブブブ


バイブ音が低く響く。


絢斗君が「ちょっとごめん」と小さく言い、スマホを取り出しながら席を立つ。



1人、涙を拭って考える。


新しい事にチャレンジするとき、不安になって戻りたくなる。


そんな気持ちなのかもしれない。



冷静に考えてみて、例えば沙耶香ちゃんと央の仲を裂きたいってわけじゃない。


寧ろ、央の幸せを願う気持ちに嘘はない。



……今はちょっと、一足早いマリッジブルー的な?


そう。


あたしは、絢斗君を好きになる。



「お待たせー、李花ちゃん?」


後ろから肩に手を置かれる。


ちょうど決心したところだったせいか、変に緊張してしまう。


「おかえ…………ンッ」





振り向き様の唇に、柔らかい感触。



体勢が悪かったのか、ガードが緩かったのか、不意討ちの深いキスは、中々終わらない。


「…………ンッンーーーーッ!!」


これ以上はもう……!とどうにかありったけの力で絢斗君を引き剥がす。
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