私の師匠は沖田総司です【上】
土方さんがゴホンと一つ咳払いをする。
「せっかく斎藤が連れてきた入隊希望者だ。さっそくだが入隊試験を受けてもらう。ここに来たってことはそれなりに刀を扱えるんだろうな」
「はい、それなりには扱えると思います」
「いいだろう。だったらここにいる斎藤と試合を」
「試合は土方さんにお願いできないでしょうか」
土方さんの言葉を遮ると、二人がとても驚いた表情をした。
私は真っ直ぐ土方さんの目を見る。
入隊試験をするなら土方さんにお願いしたい。私の実力を新選組副長の目で判断して欲しい。
すると、土方さんがまた鼻で笑った。
「何が可笑しいのですか?」
「いや、わざわざ俺に挑むなんざずいぶん物好きだと思ってな」
少し笑った後、土方さんが私の方をからかう様な目で見てきた。
「ダメだ。俺は女に怪我させる趣味はねえんだ。斎藤なら怪我をさせずに実力を見極められる」
「逃げるのですか?」
「なんだと」
からかう様な目がスッと鋭くなり、低い声音が部屋に響く。体の奥からゾクリと悪寒のようなものが走った。
でも、私は体が震えるのを堪え土方さんの目を見つめ返した。
「まぁ、確かに、いくら入隊試験と言えど、女に負けたら副長としての名に傷がつきますよね。立場を守る為に保守的な考えになるのは悪いことではありません。
ですが、私のお願いを聞いて頂けなければ、土方さんは女に負けるのを恐れて合理的な理由をつけて逃げたと町中に言いふらします」
「天宮っ……!」
斎藤さんが私に近寄ろうとした瞬間、土方さんが声で制した。
「面白い。丁度書類書きばかりで体が鈍ってたところだ。天宮蒼蝶だったか。俺がおまえの入隊試験の相手をしてやるよ」
「よろしくお願いします、土方さん」
「手加減するつもりは微塵もねえからな」
さて、私は生きて試合を終えられるでしょうか?
「せっかく斎藤が連れてきた入隊希望者だ。さっそくだが入隊試験を受けてもらう。ここに来たってことはそれなりに刀を扱えるんだろうな」
「はい、それなりには扱えると思います」
「いいだろう。だったらここにいる斎藤と試合を」
「試合は土方さんにお願いできないでしょうか」
土方さんの言葉を遮ると、二人がとても驚いた表情をした。
私は真っ直ぐ土方さんの目を見る。
入隊試験をするなら土方さんにお願いしたい。私の実力を新選組副長の目で判断して欲しい。
すると、土方さんがまた鼻で笑った。
「何が可笑しいのですか?」
「いや、わざわざ俺に挑むなんざずいぶん物好きだと思ってな」
少し笑った後、土方さんが私の方をからかう様な目で見てきた。
「ダメだ。俺は女に怪我させる趣味はねえんだ。斎藤なら怪我をさせずに実力を見極められる」
「逃げるのですか?」
「なんだと」
からかう様な目がスッと鋭くなり、低い声音が部屋に響く。体の奥からゾクリと悪寒のようなものが走った。
でも、私は体が震えるのを堪え土方さんの目を見つめ返した。
「まぁ、確かに、いくら入隊試験と言えど、女に負けたら副長としての名に傷がつきますよね。立場を守る為に保守的な考えになるのは悪いことではありません。
ですが、私のお願いを聞いて頂けなければ、土方さんは女に負けるのを恐れて合理的な理由をつけて逃げたと町中に言いふらします」
「天宮っ……!」
斎藤さんが私に近寄ろうとした瞬間、土方さんが声で制した。
「面白い。丁度書類書きばかりで体が鈍ってたところだ。天宮蒼蝶だったか。俺がおまえの入隊試験の相手をしてやるよ」
「よろしくお願いします、土方さん」
「手加減するつもりは微塵もねえからな」
さて、私は生きて試合を終えられるでしょうか?