私の師匠は沖田総司です【上】
道場へと連れられ、斎藤さんから道着を借りて着替えました。ですが、サイズが大きくて手も足も出てきません。

袴の裾を引きずって登場したら「どこの殿様だ」と土方さんに言われてしまいました。

しょうがないので上はたすき掛けをして腕を出し、袴は限界まで上にあげて足を出しました。

袴の結び目が胸の位置を超えている。何だこの格好は。

「斎藤さん、もう少し小さいのは無かったんですか?」

「すまない。ほとんどが破れていたりしていて、それしかなかった」

こんな姿、絶対に師匠には見られたくありません。

一生笑いのネタにされてしまう。

「まぁ、大分マシになったな」

と、言う土方さんの顔は笑いを堪えてますが、その言葉を信用してよいのだろうか。

「……ぷっ」

斎藤さんが笑いを堪えきれず吹きだした。どうやら土方さんの言葉は信用してはいけないらしい。

さっさと終わらせて着替えたい。

私は斎藤さんから木刀を借りて構えました。

「防具は付けなくていいのか?」

「防具をつけると重みで手元が狂ってしまうんです。土方さんこそつけなくていいんですか?怪我してもしりませんよ」

「はっ、言ってくれるじゃねえか」

土方さんも木刀を持って私と対峙する。審判役は斎藤さんだ。

「では、これより入隊試験を始めます。……始め!」

先手を仕掛けたのは土方さんだった。上段から勢いよく木刀を振り降ろす。

受け止めたらヤバいと本能的に感じた私は、横に飛んで避けた。
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