私の師匠は沖田総司です【上】
どうやら今の話し方を変えるつもりはねえみたいだな。
「まぁいいや、で千代菊」
「だから今のウチは千代菊やあらへんって」
「……」
俺は一つ溜め息をついた。
「以蔵、これで満足か?」
「満足や」
以蔵はニコニコと微笑んだ。
千代菊の真名は岡田以蔵。
以蔵は俺と同じ土佐藩の奴で俺の遠い親戚であり親友の武市半平太の使いっぱしり。
俺と以蔵は半平太つながりで仲良くなった。
以蔵は男だが、かなりの女顔で普通の女よりも綺麗な顔立ちをしている。
その顔と半平太の使いっぱしり時代に培った、なんでも器用にこなす才能を武器に芸妓をしている。
そして俺が知らない内に太夫になってた。
普段、芸妓をしている以蔵だが昔は『人斬り以蔵』として恐れられていた時期があった。
以蔵は剣の才能の塊なんだ。
ちょっと剣術に自信がある程度じゃ以蔵に敵わない。そんな奴が十人束になっても以蔵は無傷で勝つだろうな。
この女顔からは想像できないぐらい以蔵は強い。