私の師匠は沖田総司です【上】
そう思ったら、身体が勝手に動いて蒼蝶を引き寄せていた。
蒼蝶はピクリと身体を震わせるけど離れようとしない。
「しばらくこうさせてくれ」
「はい」
理由を言わなくても蒼蝶は俺の気持ちを感じ取って抱きしめてくれる。
心地よい温もりを感じながらゆっくりと瞼を下ろす。
目を閉じていると髪に蒼蝶の手が触れたけど、すぐに離れた。
「触りたいなら触れよ」
「でも」
「おまえならいい」
「……」
しばらくしてから蒼蝶の小さくてやわらかい手が俺の髪に触れた。
……やっぱ変な感じがするな。
気持ちがいいような、くすぐったいような、言葉で言い表せない不思議な感じ。
でも悪い気はしないんだよな。
「大丈夫ですよ。私がいますから」
俺の髪を優しく撫でながら蒼蝶が耳元で囁く。自然とまわした腕に力が込められた。
やっぱり、蒼蝶は俺のこんなカッコ悪い部分も受け止めてくれた。
恐怖や不安で怯えていた心は徐々に消えていき、大丈夫だと思えてきた。
「ありがとう」
「いいえ。龍馬さんは大切な友達ですから」
大切な友達、か。
蒼蝶、俺もおまえが大切だ。でも、大切な友達じゃない。
友達って言葉ではおさまりきらない程、おまえの存在が俺の中で大きくなっている。
蒼蝶だから大切にしたいと思うんだ。
たぶん俺は……おまえが好きなんだ。