私の師匠は沖田総司です【上】
「もう大丈夫です。出て来ていいですよ」
押し入れから出ると、窮屈な場所にいて痛くなった腰とかを伸ばした。
その間、蒼蝶はさっき貰った二本の刀を大切そうに抱きしめていた。
「その刀、そんなに大切なのか」
「はい。これは師匠から頂いた刀なんです。不安な時とかに抱きしめると、師匠が近くにいる気がして落ち着くんです。
折れた時はもうダメかと思ったけど、直ってよかった」
「……そうか」
師匠の話しをする時、蒼蝶はとても幸せそうな表情をしている。
その顔を見るたびに蒼蝶の心の中にいる師匠の存在の大きさを感じて、小さな針で胸を刺されるような痛みがする。
……これを嫉妬っていうのかな。
「そろそろ仕事に戻りますね。怪我が治ったからって外に出たらダメですよ」
「はいはい、分かってるよ」
蒼蝶は俺の母親かよ。口調まで俺の母親に似てる気がするのは気のせいか?
蒼蝶が部屋から出ていった後、俺は布団の上で横になった。
うつらうつらと微睡んでいると誰かが部屋に入って来た。
「龍馬、怪我の具合はどうや」
「ぼちぼちだな」
着流し姿の以蔵がふふふっと笑う。
「それは何よりや」
「で、何か用?」