私の師匠は沖田総司です【上】
「明日の夜、ここを出て長州藩邸に行くで」
「明日の夜?」
「そうや。ここ最近、町で龍馬を探しとった輩の姿が消えたんやと。だから長州藩邸に帰るんやったら今やと思ってな」
「その情報は確かなのか?てか、そんな情報どこから手に入れた」
「ここは色々な情報が出回るでな。客にお酒を飲ませてちょちょいっとやれば簡単に口を割る」
本当、以蔵ってすげえな。人斬りよりも情報屋とかの方が向いてるんじゃないか?
「まぁ、そいつらの姿が消えたって言うても、危険なことには変わらん。もしかしたら隙を伺ってるだけかもしれんからな」
「それでもいい。あまり角屋に長居するのも悪いからな」
「決まりやな。じゃ、そう言うわけやから。腹くくっといてや」
「ああ」
以蔵が部屋から出て行く。
窓の外を見るといつの間にか太陽は大きく西に傾いていた。
この部屋で夜を過ごすのは今日で最後か。そう思うとなんとなく寂しい感じがする。
それだけ、ここでの生活に満足してたってことだよな。
それもそうか。短い間だったけど好きな女と一緒に生活ができたんだ。満足しないわけがない。