私の師匠は沖田総司です【上】
「いや、謝る必要なんかねえんだ。苦手なのはしょうがないからな。そうか、少し控えるかな」

「その方が体にも良いと思いますよ。煙草の代わりに少し運動をするとか、そういうのでも良い気分転換になります。ぜひ試してみてください」

「運動ね……」

土方さんは頬杖を着くと、ニヤッと笑いました。

「だったら気分転換の運動は、おまえとの試合でいいかな」

「私と試合ですか!?そっ、そんな、私じゃ絶対に役にたてません!」

昨日の試合だって殆ど土方さんに圧倒される一方だった。

私の実力じゃ絶対に物足りない筈。

試合をするなら隊士達と一緒にやった方が良いです。

「ははは。そう自分を低くみるな。昨日の試合、俺けっこう本気だったんだぞ。あれだけの実力があれば十分だ。堂々と胸を張っていい」

頭の上に土方さんの大きな手が置かれます。

斎藤さんの時も思ったのですが、私ってそんなに子供でしょうか。

でも、頭撫でられるのは嫌いではありません。

私を少しでも信用してくれると思うと嬉しいです。

「これからも今みたいに笑ってろよ」

「どういう意味ですか?」

土方さんの言葉に思わず首を傾げます。

すると土方さんは私の眉間をトンッと優しく突っつきました。

「おまえ、さっきからずっとここに皺が寄ってんだ。綺麗な顔が台無しになるから止めろ。女は能天気に笑ってる顔の方が何倍もいい」
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