私の師匠は沖田総司です【上】
「おお、ここだ。天宮君、ここで君の歓迎会をするぞ」

ひとつの店の前に立ち止まると、近藤さんが私の方を見ました。するとすぐの斎藤さんは手を離します。

「ここ、ですか?」

さっきまで手を掴まれていたこともあり、少し斎藤さんを気にしながら店を見ます。

店の燈籠や暖簾には『角』と言う文字が書かれています。

もしかしてここは『角屋』でしょうか。

角屋と言えば山南さんが最も愛した女性、明里さんがいる場所ですよね。

「あの、山南さん」

「はい」

「この店に明里さんと言う方がいらっしゃいませんか?」

私の言葉に山南さんが少しだけ驚きの表情を浮かべます。

「彼女を知っているんですか?」

「はい、まぁ……」

未来では山南さんが愛した女性として有名ですからね。
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