私の師匠は沖田総司です【上】
しばらくすると豪華な料理が運ばれてきます。

綺麗に盛り付けられた料理はとても美味しく、幸せな気持ちにしてくれました。

「天宮は飲まぬのか?」

御猪口でお酒を飲んでいた斎藤さんが話し掛けてきました。

まだ飲み始めたばかりなのか、表情に変化はありません。

「私は飲むのよりもお酌をする方が得意なんです。よろしければお酌をしましょうか?」

「いいのか?」

「はい」

斎藤さんの膳に置いてあった徳利を持ちました。

「どうぞ」

「すまないな」

「いいえ」

斎藤さんの御猪口に酒を注ぎます。

お酌をしながら、現代で師匠にお酌をしてあげた時の事を思い出していました。

「手酌よりも蒼蝶にお酌をしてもらった方が美味しい」と言ってくれた時、とても嬉しかった。

……組長にもお酌してあげたいな。

チラッと組長の方を見ます。組長はムスッとした表情でお酒を飲んでいました。

どう考えてもお酌をさせてくれるような雰囲気ではありません。
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