私の師匠は沖田総司です【上】
「千代菊はん、妄想がはみ出てますえ。押さえてくだはい」

「あら……」

明里さんの一言で千代菊さんの裏の言葉が消えます。

あぁ、よかった。

「堪忍な。千代菊はんは可愛い子が好きなんよ」

「いえ、気にしなくていいですよ」

ニコッと笑うと千代菊さんが頬を赤らめながら「可愛すぎて、食べてしまいそうやわぁ」と言っていた。

なんか涎を啜るような音が聞こえたけど気のせいでしょうか。

「太夫、千代菊って変人ですかィ?」

藤堂さん、もっと声を押さえて言ってください!

すると千代菊さんはムッと怒ってそっぽを向きました。

「別に変人やあらへん。ただちょっと可愛い子が好きなだけや」

ちょっと!?ちょっとだけで妄想がはみ出したりするんですか!?

すると千代菊さんが私に近づいてきて顔を撫ではじめました。まるで犬を撫でる手つきです。

「ほんま可愛いわ~!名前はなんて言うん?」

「天宮、蒼蝶です」

「蒼蝶ちゃん言うんか!名前も可愛いんね~!」

これは確実に男装がバレていますね。千代菊さんって意外と鋭い人だ。
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