私の師匠は沖田総司です【上】
思わずその姿に見惚れていると、男性と目が合ってしまいました。

「……おまえ、さっきから何なの?俺を見て楽しいの?」

どこか警戒した声音で男性が言いました。

確かに見ず知らずの人にじっと見られたら気分が悪い。私も同じ立場になったら男性と同じ反応をしてしまう。

私はすぐに頭を下げた。

「ごめんなさい、何でもないんです。ただ、お酒を飲む姿が綺麗だなって思って思わず……」

「それで俺を見てたの?」

「……はい」

「ふ~ん……」

男性はまたお酒を飲み始めました。私はなんだかその場を離れられなくなり、男性と同じように欄干に凭れ掛りました。

「おまえ、ここの客?」

しばらく沈黙が流れましたが、男性が話し掛けてきました。

「はい、そうです」

「なんで外にいるんだよ」

「ちょっとお酒の臭いに酔ってしまって、気分転換に外の空気を吸いに来たんです」

「なるほどね」

男性の声がさっきよりもやわらかくなりました。少し、警戒を解いてくれたらしいです。

また沈黙が流れようとしますが、私はその前に男性に話し掛けました。

「どうして、ここでお酒を飲んでいるんですか?」

「女が嫌いだから」

……この人、女が嫌いって言いましたよね。

「だったらどうして島原に来たんですか?」
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