私の師匠は沖田総司です【上】
「ツレに騙された」

あぁ、そうでしたか。

「それは災難でしたね」

「本当だよ。女なんて煩くて面倒なだけなのに、なんで俺をこんな所に連れて来るかね?まったく、こっちの迷惑も考えろってんだ」

男性が愚痴り始めました。どうやら島原に連れてこられて相当ご立腹の様ですね。

しばらく男性の愚痴を聞いていたら、突然男性が気まずそうに口を手で押さえました。

「……すまん。初対面の奴に愚痴った」

「いいえ、気にしないでください」

「そうか」

それ以降、男性はぱったりと口を閉ざしてしまいました。私に愚痴ったことが余程気まずいらしいですね。

「……あの、私も少し愚痴って良いですか?」

「え?ああ、俺でいいなら聞いてやるよ」

「お願いします。私はある人に頼まれてこの町に来たんです。

その人の願いを叶えるには、人と仲良くするのが一番なんですけど、私、一番仲良くなりたい人に嫌われてしまったんです。

このままじゃ、その人の願いが叶えられない。でも、どうやって仲良くなったら良いか分からなくて……」

「……」

私が話している間、男性は一言も言葉を発さず、最後まで私の話を聞いてくれました。

色々と隠しながら話しましたから、話の意味が分かりにくかったと思います。

私は話し終えるとすぐに男性に頭を下げました。
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