私の師匠は沖田総司です【上】
チラッと、組長がいるであろう場所に顔を向けました。すると、凄まじい速さで何かが動きました。

残像からするに、やはり組長のようですね。

「組長、一緒に食べませんか?」

「……」

呼びかけてみますが、組長の反応はありません。しかし、しばらくすると組長が壁からチラッと顔を出しました。

不意の可愛さに思わず胸がキュン。

「本当は心底食べたいが、日頃の天宮への態度で食べたいと言い出せないようだな」

「はっ、自業自得とはまさにこのことでい」

「確か総司の奴、今金欠で甘味食ってないんだよな。斎藤が言う通り心底この団子を食いたいだろうな」

「総司は無類の甘味好きだからな。まぁ、だからと言ってやるつもりはない。世の中は弱肉強食だ。食い物に情けなんかもたねぇ」

皆さんがザマみろと言うように、誰一人組長に団子を渡そうとしません。

こっちを見る組長の目がだんだん鋭くなっていきます。

後々が恐ろしいですね。

そうこうしている内に、みたらし団子は斎藤さんが持っている一本だけとなりました。

斎藤さんがみたらし団子を持って組長に近づいていきます。

そして組長から少し離れた場所から、みたらし団子を左右に振り出します。

すると、組長がみたらし団子に釣られて壁の影から出てきました。

二人の行動はまるで“ねこじゃらしを狙う猫とその飼い主”を連想させます。

さっきから私は、みたらし団子に釣られる組長が可愛すぎて、笑いを堪えるのに必死です。
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