私の師匠は沖田総司です【上】
しばらく、可愛い組長と斎藤さんのやり取りを見ていると、不意に斎藤さんの動きが止まりました。

「総司、これが欲しければ天宮に下さいと言え」

「……どうして」

「これは天宮は作った団子だからだ。作った者の許可がいるのは当然だろう」

組長がチラッと私の方を見ます。でも、私を見るだけで何も言いません。

「あの、良かったらどうぞ食べてください」

斎藤さんたちが食べていたとはいえ、もともと組長の為に作ったお団子ですから、組長にも食べる権利はある。

だから別に許可を貰わなくていい。

ですが、斎藤さんは組長に団子を渡しません。

「ほら、僕にくれるって。だから早く頂戴よ」

「ダメだ」

「……だったらいらない」

組長が苦々しく顔を歪めながら、どこかへ行ってしまいました。

「天宮、すまなかった」

「いえ」

斎藤さんが私に申し訳なさそうに頭を下げます。

おそらく斎藤さんは、私と組長との関係をなんとかしようとして、さっきのことをしたんだと思います。

結果は失敗に終わりましたが、だからと言って斎藤さんを攻めようとは、微塵も思っていません。

でも、それよりも私は皆さんに聞きたいことがある。

「皆さん、私が作ったみたらし団子は美味しかったですか?」

「ああ、美味かった」

「美味かったですぜ」

「今まで食った団子の中で一番美味かった」

「すごく美味かった。また作って欲しいよ」

「ありがとうございます。とても嬉しいです」

皆さんが美味しかったと言ってくれる。

作った目的こそは違うけど、これだけでも私は、とても幸せな気持ちになりました。
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