僕の幸せは、星をめぐるように。


☆ ★ ☆


「うぅわ、うんめぇ~! もいっこ!」


「ちゃんと中さ火通ってる?」


「あ、味に夢中で全然わかんねがった!」


「もう、おめぇマジ使えねー」


わたしはとんがったパズルのピースが綺麗に合体したような2人のやり取りをニヤニヤと眺めていた。


ユカチンとクニオ。


正直、付き合う前と何も変わっていないように見えるけど、

部活後に待ち合わせして一緒に帰ったり、休みには盛岡にデートしに行ったりしているらしい。

いいなぁ~。


10月後半。


微妙な成績だった中間テストが終わり、

文化祭に向けた準備が本格的に始まった。


わたしたちは、調理室にてからあげを試作中。


ここには、広い室内に9台の2口コンロ付き調理台が並べられている。

文化祭が近いことから、台は全て埋まっていて、いろいろな匂いや声が漂っていた。


「トシミは? どう?」


「うー、ちょっとにんにく利きすぎかなぁ。カップルで来る人もいるべ?」


「お、なるほど! 次はにんにく減らしてもうちょいしょうが入れっぺ」


うちのクラスは、このからあげを太い串に刺したからあげ棒の他、

フランクフルトと新じゃが棒を販売することに。


調理班からあげ担当のわたしたちは、レシピをネットで調べながら美味しいものを作ろうと研究を重ねていた。

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