僕の幸せは、星をめぐるように。


☆ ★ ☆


ボロボロになりながらたどり着いたのは、

賢治記念館のすぐ近くにある、西洋レストラン風の建物によく似た館だった。


腹ペコなわたしはそこに迷い込んでしまったらしい。


あれ? ここって観光客向けの軽食&お土産屋さんじゃなかったっけ?


まいっか。おじゃましまーす。


ん? レンガの壁に何か張り紙があるぞ。

ここは注文の多いお店です……って。

へー、人気のあるとこなんだー。


なになに……まずは、この砂糖を頭からかけなきゃだめなのか。

次に、この塩を体にもみこんで……。


お料理が出されることはなく、

部屋を進むごとに、なぜかわたし自身にどんどん味がつけられていく。


ん、このお話は読んだことがあるぞ!

と気がついた時はすでに遅し。


甘くてしょっぱくて苦味もきいた、おいしいトシミちゃんが出来あがっちゃいましたー!


妙なテンションで、この館のボスである山猫さんの部屋にわたしはたどり着いた。


しかし、その山猫さんは、

「うぅわ、ゲロマズ。カーッ、ペッ! お前なんか食う価値もないニャ! 帰れなのニャー!」

と、ソッコーでわたしを追い出した。


ちょ、なんて失礼な!


しかも、家に帰っても、その後いつまでも、この味はわたしから消えることはありませんでしたとさ。


どんど晴れ(終わり)。


えー!? そーんなぁー!


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