僕の幸せは、星をめぐるように。
「そいえばこの前の中間どうだった? わたし超やばかった~」
と、わたしは何となく話題を変えてみたが。
「オラもオワタ。このまま高校も童貞も卒業できねがったらどうしよう」
……何上手いこと言ってんだコイツ。
県道を渡り、住宅街に続く道を2台の自転車は進む。
昔よく遊んでいた公園では、砂場で子どもたちがキャピキャピと遊んでいた。
「阿部ちゃん、あんま教えてくんねーんだよ」
片手で自転車のハンドルを握り、もう片方の手で背中をボリボリかきながら、クニオはそう呟いた。
今日は部活が無いため、セットが落ちていない黒髪が風になびいている。
「え?」
「好きな人いねーのか、とか、おめぇとどうなってるか、とか。俺らのこととかは色々聞いてくるんだけど。……何か、協力できねくてすまん」
「別にいーよ。気遣わせちゃってごめんって」
「オラ、おめぇと阿部ちゃんに幸せになって欲しいだ~」
日が短くなっているため、すでに太陽はオレンジを帯びながら、奥の山に近づいている。
稲が全て刈り取られた田んぼは、先日までの雨で水たまりができていて、
キラキラと日の光と空を反射していた。
子どもたちの声と、わたしの自転車のシャー、シャーという油の足りていない音が道に響いている。
もうすぐわたしとクニオの家のあたりに到着する。
クニオも阿部くんの中にある、何かに気がついているのだろうか。
こいつもわたしと同じでオツムは弱いけど、単純にいいやつだよな。
「ありがと。あとはわたしが頑張るよ! フられた時は冷麺おごってけれ~」
「おう。……あ、でも阿部ちゃんの好きなタイプは椎名林檎だって。おめぇまんずドヘタな歌なおすとこからスタートだべな!」
「やかましーわ!」