僕の幸せは、星をめぐるように。


☆ ★ ☆


「本当にごめんなさい!」


県道沿いのコンビニの駐車場にて。

その子――6組の柳下さんはわたしに頭を下げた。


「いいよ別に今さら」


「あたし、あのことずっと後悔してて……。

トシミちゃんがまた陸上してるの見っけて、中学の頃、軽い気持ちで何てことしちゃったんだろうって、もう耐えられなくなって」


「まあ、あの時はわたしも調子乗ってたから。もうケガも治って全然大丈夫だし」


「…………」


謝るくらいならあの時止めてくれればよかったのに、

という言葉が喉まで出かかったけど、

下を向きながら黙っている柳下さんを見ながら、わたしは懸命にそれを飲み込んだ。


「あと、この前、たまたま駅で平木のこと見かけて……色々思い出しちゃって」


顔は上げつつも、目線は足元の汚れた雪のまま。

柳下さんはゆっくりと話し始めた。


平木か――。


『おめぇまだ陸上やってんの』


自転車置き場でそう声をかけられたことを思い出す。


平木こそ高校でも陸上やってたんだ。

柳下さんは見た目から帰宅部っぽいけど。


「平木、もともと小学校の頃から選手やってたべ? でも中学入って、リレーの選手も幅跳びの選手もぜんぶトシミちゃんに取られて。それから部活やる気なくしたって」


「んなんだ……」


「あたし中学の時、陸上部弱いって聞いて、そんなにキツくないだろう、って理由で入っただけだから。

文化部は何かダサい子しかいないしさ。まわりもそういう理由で入部した人多かったし。結局、大会だって他の部からの寄せ集めメンバーの方が活躍してたべ?」


「うん」


「でも平木とトシミちゃんは違ってた。でも選手漏れたときから平木、だんだんおかしくなって、トシミちゃんをどうやって排除するかばっか考えてた」


駐車場は除雪がされているけど、足元は一面白色で、隅には山盛りになった雪が積まれている。

大型トラックがごーごーと大きなエンジン音を出しながら、わたしたちの横を通り過ぎていった。


「平木発言力あったし、部のみんなも同情してた。ちょうど部活も厳しくなってみんなモチベ下がってたっけし。

んだからって……あんなこと。本当に、ごめんな……さいっ。ううっ」


たくさんの足跡によって茶色に染まった雪。

柳下さんの足元に、一粒、また一粒、雫が落ちていく。

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