僕の幸せは、星をめぐるように。
「にゃーおぅ」
「でもこっち来てよかったよ。毎日楽しいし。あと、トシミちゃんは何も悪くないよ」
「え?」
「にゃーおー」
「体育大会の後、あんなに悲しい顔で帰んなくて良かったんだよ」
「にゃー」
外の雨音とクロの鳴き声のせいで、そうぼそりと話す阿部くんの声は半分しか聞こえなかった。
湿った空気が外から流れてくる。
屋根や水たまりに雨が打ち付られる高低様々な音が、立体感のあるリズムを刻んでいる。
わたしは阿部くんにばれないように、静かに涙を流していた。
気づいていたのかもしれないけど、阿部くんは何も言わなかった。