そこにいる
「私はあなたのよく知っているモノです。

私は大抵あなたと行動を共にします。

そして、私はあなたの秘密を知っています。」


僕らは息を呑んだ。


「さて、『私』はどこにいる?」


これか・・・・


この方法で『そこにいる』と答えさせていたのか・・・

この男なら全てを見通す事なんて簡単そうだ。

沢山の隠しカメラか何かで、秘密だって全部掴んでいそうだ。


いや・・・待て・・・・


『私はあなたのよく知っているモノです』って・・・

毎日この男から報告は聞くけど・・

この男については何も知らない・・・

・・・って事は、この男の事じゃない!って事か・・・・



「さぁ・・・どこに居る・・・?」



男はラストチャンスと言わんばかりに、プレッシャーを掛けてくる。

その表情は見えないが、うっすらと笑っているのが分かる。


と、僕は・・菜都の視線が僕に向いている事に気が付いた。

汗でビッショリになり、緊張で息があがっている。

そんな菜都が、僕を凝視して・・何かを言おうとしている。


『・・え?!・・ナニ?』


僕はハッとした。

確かに、僕は今日、小坂先輩の元へ行った事で、菜都が僕に言っていなかった過去の秘密を知った。

そうして、僕は菜都と大抵一緒にいる。

付き合いだして1ヶ月だが、僕たちは恋人同士という近い関係にある。

て、事はよく知っている・・って事に入るのか・・・?!




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