初めての恋はあなたと。 「その後」を追加しました
恥ずかしくて、笑う和也さんに腹が立ったわけではないがそれに近い感情になり、イスごとデスクに向き直した。


「千夏」


オフィスには似合わない、優しい声に振り向きそうになったがグッと我慢。
何だかここで振り返ったら負けた気がする…!
何に負けるかよく分からないけど。

しかし数十秒経ってすぐに後悔し始める。
素直になれないなんて嫌なやつ?
和也さんそういうの嫌い…だよね?

向きたいけど向けない気持ちに、一人で葛藤しているとくるっと私の座るイスが回された。

当然目の前には和也さん。
床に膝をついていて、少し私の方が目線の位置が高い。


「ちょ、か…江崎課長!」


さすがにここはオフィス。(和也さんがしょっぱなから呼び捨てだったけどあえてスルー)
呼び捨てはちょっと気がひけるというか…。


「別に誰もいないし気にしなくてもいい」


確かにこのフロアに残っているのは私と和也さんだけだけど。
いつ誰が来るか分からないでしょ!
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