スイートラブライフ
「ひゃっ……ダメですよ。まだ」

ニットの中に入ってきた手を、私は止める。

「まだってことは後でだったらいいってこと?」

「まぁ、そうですね……」

別にオミ君とのアレやコレが嫌なわけじゃない。

けれど戻って来てすぐだ。

まだ玄関なのだ。

「じゃあ、後でも今でも一緒だ。いただきます」

「ンっ……あ」

壁に追い詰められて、私の唇に彼の濡れた唇が重なる。

いただきますと言った彼のキスは、本当に私の唇を食むように激しい。

その唇に解放されたときには、私の息はあがってしまっていた。

顔を首筋にうずめられると彼の髪が顔にかかってくすぐったい。

いや、今はそんなことを言ってる場合じゃない。身の危険が迫っている。

「オミく……んっ。あの私、まだシャワーも浴びてない」

「それが?」

それがって……いくらあまり汗のかかない季節でもやっぱり色々気になるのが乙女心だ。
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