君の名を呼んで
皇のご両親に会いにいった後、私達は休暇を取って桜里に会いにイギリスへ行った。


「宣言通り、こいつをもらいに来た」

とか堂々と言い放った尊大過ぎる皇に、

「死にたいようですね……」

とかなんとか、キレた桜里に皇は危うく銃で撃たれそうになったけど。
結局桜里は、私の父として、結婚を許してくれた。


「雪姫、幸せになりなさい。……いつでも僕のところに出戻って良いんですからね!」

なんて、ものすご~く切実に言われたのは、それとして。


私は、白鷺雪姫でもなく、
梶原雪姫でもなく、

城ノ内雪姫になる。



あらかた仕事を片付けた頃、真野社長に呼ばれて社長室に行く。

「梶原ちゃん、おめでとう」

「ありがとうございます」

なんだか恥ずかしいけど、BNPを立ち上げた真野社長は、ある意味私達のキューピットとも言えるのよね。
それに、私が皇を諦めかけた時、何度も真野社長が橋渡しをしてくれたわけだし。

「本当に、真野社長のおかげです」

頭を下げたなら、彼は慌てて顔の前で手を振った。

「あ、やめて。感動の涙は結婚式にとっといて」

本当は涙もろいんだよ、と笑う社長に、私も笑い返す。


「式は五ヶ月後だっけ」

「はい。私と城ノ内副社長の予定がなかなか合わなくて」

「あいつ仕事の鬼だからなあ。まあ梶原ちゃんも仕事の虫だもんね」

頷いて、苦笑する。
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