やさしい手のひら・後編
「優(ユウ)くん、ちゃんと歩こうね」

私のクラスで一番元気のいい優くん

小さくて目が離せない男の子

でもとても素直で人懐こい

「せんせい、あれみて」

「うん?飛行機雲だね」

「きれいー」

真っ青な空に一直線の線を描いた、飛行機雲にみんな口を開けて空を見ている

目をキラキラさせて珍しそうに声を上げる

「はい、歩くよ」

後ろを見ると夏希先生の園児達も空を見ていた

「夏希先生、出発しますね」

私は声を掛けて園児達の列を直し、また歩き出す

みんなとのお散歩が嬉しくて、いつもより元気いっぱいだった

見る景色、一つ一つに反応しなから目的地の公園に辿り着くと、今すぐにでも遊具に飛び出して行きそうな園児達

「みなさんいいですか?ここの公園からは絶対出てはいけません」

「はーい」

声を揃えて園児達はまだかまだかと私を見ている

説明を終えて、

「では、遊んでいいですよ」

言った瞬間、さまざまに散らばり走って行く

ここから更に目を離せないので、常に公園の外へ出ないかと見ていなければならない

「せんせいー、こっちこっち」

あちらこちらで呼ばれ、私は忙しく走り回っていた



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