キスはワインセラーに隠れて


聞きたいことって、何……?

観念して後ろを振り返ると、瞳にとどまっていた涙が溢れて、頬に伝った。

藤原さんは小さくため息をつくと私の頬に手を伸ばし、親指でぐいっと涙を拭うと言った。


「……聞くまでもないか。その顔、どう見たって“女”だもんな」

「今さら、何言ってるんですか……」


昨日キスした時点で、私が女だってことはもうわかってたでしょ……?


「今さらってなんだ。俺がどんだけ悩んだと思ってる」

「悩んだ……?」


ぐす、と鼻を啜って、首を傾げる。

なんか、私たち話が食い違ってるような……


「さっき、身体に触れるまで……俺はお前を完全に“男”だと思ってたんだぞ」

「……え?」


私は耳を疑った。

まさかそんな……


「だって、昨日のキスの時、私……」


思わず女っぽい声が出ちゃって、それで……



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