キスはワインセラーに隠れて
本田のヤツ……なんで、私がこれから行く場所が藤原さんのとこだってわかったんだろ?
香澄さんにも顔に書いてあるって言われたし、須賀さんにも、藤原がいなくてどうこうって……
もしかして私、藤原さんへの気持ち、表に出し過ぎなのかな……?
そう思いながらため息を夜空に吐き出してみたけれど、むわりとまとわりつくような六月の夜風は、熱くなった頬を冷ましてはくれなくて。
同僚の誰かが通勤に使ってるバイクのミラーで自分の顔を確認したら、その赤さもさることながら、なぜか瞳が泣きそうに潤んでた。
こんな顔で会いに行って、変な風に思われる……?
でも、どうせ昨日のキスで藤原さんには性別がばれているんだ。
そういう追及をされる覚悟で行かなきゃ。
「……よしっ」
自分を奮い立たせるように小さくそう言うと、私は自転車に跨った。
まずはどこかで買い物をして……香澄さんに聞いた藤原さんの家は、勝手に脳が暗記しているからたぶん辿りつける。