光のもとでⅡ
 ――「君が自分から俺に触れてくれたのは三回目かな」。

 それは秋斗さんが口にした言葉。

 ――「好きな子に触れることができるのはすごく嬉しいし、逆に触れてもらえることだって嬉しい。俺はまだ三回しか触れてもらってないけどね」。

 ツカサも秋斗さんと同じことを思っているの……?
 あのときの私は秋斗さんが言うことの半分も理解できていなかった。でも今は、ツカサに触れられると嬉しいと思うし、触れてみたいと思うこともある。
 そういうのは口にしていいのかな……。
「私も、ツカサに触れられるのは嬉しい……。それから、触れてみたいとも思う……」
 しだいに顔が熱くなるのを感じつつ、それでも距離を縮めたい気持ちを抑えられずに言葉を続ける。
「ツカサの頬に、触れてもいい……?」
「なんで頬?」
「わからない。でも、ずっと触れてみたいと思っていたの」
 ツカサは不思議そうな顔をしていたけれど、「どうぞ」と了承してくれた。
 私はドキドキしながら手を伸ばす。
 指先に頬が触れると、ほんのりとぬくもりが伝ってきた。
 シャープな頬に沿わせるように手を添えると、ツカサは同じように私の頬に手を添える。
「すべすべ……」
「翠のほうが肌理細やかだと思うけど?」
「そうかな?」
 互いの頬に手を添えたまま、至近距離で話すのはなんだか恥ずかしい。
 恥ずかしくてすぐに手を離してしまったけれど、もう少しくっついていたい。
 この、「くっついていたい」という気持ちが溢れるほどたくさんになったら、「性行為」へ踏み切れるのかもしれない。
 でも、「たくさん」ってどのくらいだろう?
「翠」
「ん?」
「何を考えてる?」
 どうして考え事をしているのがわかったんだろう。
 不思議に思っていると、
「頭、右に傾いてるけど?」
「あ――……あのね、少し考えていたの」
「何を?」
「くっついていたい、って気持ちが溢れるほどたくさんになったら、踏み切れるのかな、って」
「……それ、俺はくっつかずに散々焦らせばいいって話?」
「えっ!? それは困るっ。私、一週間と経たないうちにツカサ欠乏症になちゃうものっ」
 心底真面目に返答したつもりだったけれど、ツカサはくつくつと笑いだし、
「そんな真面目にとらなくていいのに」
「だって……」
 ツカサは改めて右手を手に取ると、
「翠より俺のほうが深刻」
「どうして……?」
「今はキスだけは好きにさせてもらってるからまだ抑えていられるけど、これでキスもなく触れることもなく、だったら、気が狂って翠を襲いかねない。事実、テスト明けからキスも何もせずにきて、今日には我慢の限界超えてた」
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