光のもとでⅡ
 そんなふうに言われると恥ずかしいけれど、どこか嬉しい気持ちもあって、どんな顔をしていたらいいのかわからなくなる。
 でも、こんな話をしたからかな。「くっつきたい」って言いやすくなった気がしなくもない。
「ツカサ、ぎゅってして?」
「……さすがに今日はそれだけじゃ留まれそうにないんだけど」
 ツカサの顔が少し引きつり、「無理」と言っていた。でも、そこで諦めることができなくて、
「……キス、たくさんはだめだけど、普通のキスなら大丈夫……」
 隣に座ったまま向き直ると、ツカサはすぐに抱きしめてくれた。そして、身体が離れると何度かのキスを交わし、
「これ以上は俺が無理」
 ツカサは距離を開けるように立ち上がり、コーヒーを飲み終える前に「帰る」と言い出した。
「明日の病院は俺が送迎する。コンシェルジュに車椅子を借りるからここで待ってて」
「ありがとう」
「それと日曜、学園祭を車椅子で回れるか確認とること。無理なら松葉杖を用意するから」
「ありがとう」
 立ち上がってツカサを見送ろうとしたら、
「そのままでいい」
 ツカサは背をかがめてキスをすると、逃げるように部屋を出て行った。
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