光のもとでⅡ
「唯、あまり気にしなくていいわよ? 私の両親も零の両親も、子どもの突飛な行動には免疫があるはずだし。ほら、私たち、蒼樹ができて学生結婚しているでしょ? この際養子で子どもがひとり加わろうと何も問題ないわよ」
 いや、実の子が増えるのと養子が増えるのは雲泥の差でしょうよっ。
「自分、家族とか親戚とかあまり免疫がなくてですね……」
 実際、実の両親の前でも素の自分ではいられなかった。そのうえ、祖父母という存在には会ったこともない。
 関係上、祖父母にあたる人はいるのだろう。けれども、その人たちの名前も知らなければ健在なのか、どこに住んでいるのかすら知らない。
 調べようと思えば調べられる。でも、調べたところでどうなるものでもない。
 そんな人たちが存在することを知ったところで、「家族」には程遠い。「家族」などとは思えない。
 無益なことに脳の容量も時間も割かない主義――ということで、俺の肉親はもういないものとしていた。
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