光のもとでⅡ
「仕事は仕事なのだけど、それだけでもないの。向こうにね、私が初等部から中等部でお世話になった養護教諭がいらっしゃるの。その人のところでしばらくお世話になることにしたのよ。今は少し、藤宮から距離を置きたくて」
「俺はその話を静さんから聞いて、海外支部の話を持ちかけたってわけ」
 雅さんは控え目に笑みを添えた。
 今の雅さんなら怖いとは思わないし、もっと話してみたいと思う。でも、秋斗さんと雅さんのやり取りを聞く限りでは、今日中に日本を発つのだろう。
 せっかく話せるようになったのにな……。
「……あの、お手紙……書いてもいいですか?」
「え……? かまわないけれど……」
「秋斗さん、あとで住所教えてください」
「了解。住所とメールアドレスの両方教えるよ」
「でも、私に何を書くことがあるの……?」
 雅さんは不思議そうに尋ねてくる。
「秘密です……というより、色々教えていただきたいことがあるので」
 言葉を濁すと、雅さんはふわりと笑った。
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