光のもとでⅡ
 採点をしている間に翠はお茶を淹れに行き、採点が終わる頃に戻ってきた。
 それまでのように正面に座るかと思えば、翠は俺の隣に腰を下ろした。
「間違えたところは明日までにさらっておいて」
「はい」
 翠は答案用紙を見て間違えた箇所にチェックを入れると、
「……手、つないでもいい?」
 小さな声で控え目に尋ねられ、まさかそんなことを言われると思っていなかった俺は、まじまじと見返すくらいには驚いていた。
「あのっ、だめだったらいいのっ」
「……いや、だめじゃないけど……」
「本当?」
 肯定の言葉を口にするより先に翠の手を取る。
 いつもと変わらずひんやりと冷たい指先……。
< 84 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop