片恋シリーズ~鎌田公一編~
そこにはすでに御園生がいた。藤宮の制服を着て藤に向かって手を伸ばす御園生が……。
去年、学園祭で会ったときよりも一段と長く、髪が伸びていた。
「御園生」
サラリと髪を風になびかせ、御園生は振り返る。そして、目が合うとふわりと表情を和らげた。
「鎌田くん、試合お疲れ様。残念だったね」
「うん……。でも、自分にできることをやりきった感はあるんだ」
メンタル面はすこぶる良かったし、負けたときに悔しいと思うよりは終わった、という感覚が強かった。
「なら、良かった……のかな? 鎌田くんはこれで引退?」
「そう。今日の試合で引退。ここからは受験勉強に切り替えなくちゃ」
「進路は? やっぱり四大?」
「うん。藤宮の医学部が本命でほかにも何校か受ける予定」
「ツカサと同じ……」
「……『つかさ』って、藤宮くん?」
「うん」
御園生は嬉しそうに微笑んだ。
去年、学園祭で会ったときよりも一段と長く、髪が伸びていた。
「御園生」
サラリと髪を風になびかせ、御園生は振り返る。そして、目が合うとふわりと表情を和らげた。
「鎌田くん、試合お疲れ様。残念だったね」
「うん……。でも、自分にできることをやりきった感はあるんだ」
メンタル面はすこぶる良かったし、負けたときに悔しいと思うよりは終わった、という感覚が強かった。
「なら、良かった……のかな? 鎌田くんはこれで引退?」
「そう。今日の試合で引退。ここからは受験勉強に切り替えなくちゃ」
「進路は? やっぱり四大?」
「うん。藤宮の医学部が本命でほかにも何校か受ける予定」
「ツカサと同じ……」
「……『つかさ』って、藤宮くん?」
「うん」
御園生は嬉しそうに微笑んだ。